東京高等裁判所 昭和41年(ネ)774号 判決
右賃貸借は繁栄が被控訴人をその営業に従事させている期間に限る趣旨のものであるが、前記事実関係からすると被控訴人主宰の山崎商店は倒産に瀕し、第二会社丸征もその店舗を失い、控訴会社繁栄が新店舗たる本件建物を使用し、被控訴人は繁栄の一役員たる地位に甘んずる結果となつたものであり、形の上では被控訴人は自ら何時でも繁栄から退任し、同時に本件建物賃貸借を終了せしめうる如くではあるが、上記の経緯にかんがみれば被控訴人が自ら退任して本件建物を回収すべき約と見るのは相当ではなく、むしろ被控訴人を繁栄の営業から排除するか否かはもつぱら繁栄の意思にかかるものであり、繁栄が被控訴人を役員として遇する限りは賃貸借は存続するものと解すべきであつて、このように賃借人の意思にかかることを賃貸借終了の原因とする特約は、借家法第六条にいわゆる賃借人に不利益なものとはいえないので、かかる特約ももとより有効である。
(浅沼 岡本 田畑)